立川談春師匠の『芸歴40周年記念興行』もいよいよ今月で終了。
10月の演目は「おたのしみ」「火事息子」「子別れ」……のはずが、なんと公演前のアナウンスに小春志師匠の声で「火事息子は人情八百屋に変更します」
その途端、会場内はドッと笑い声が上がり……ええ、まあ、そんなこともあるでしょう。
前回もそうでしたからね(笑)
それにしても「両方とも長い噺なので、おたのしみはなし」の方が少々残念かも。
人情八百屋
たまたま売り歩いていた八百屋の前に明らかに飢えている母と二人の子。
哀れに思った八百屋が残っていたナスと稼いだ金を渡して帰ってきたが、後日心配になって訪ねてみると両親は死に、残った子供たちは同じ長屋の鳶の親方宅に身を寄せていた……という噺。
特に見せ場もなく、ただひたすら互いに助け合う庶民の噺で、以前、師匠がこの噺をする前に「東日本大震災後、こんな時に何を話すかと考えたとき、この噺が良いと思った」と言ったことを覚えている。
今回は、震災後のボランティアに行っている人から頼まれて公演したときの話をしてくれて、なるほどだからこの噺なんだ、と納得した。
『選ばれちゃった』かぁ……辛いなぁ。
子別れ
本来は「上:夫婦別れ、中:花魁を家に入れる、下:夫婦が元鞘に戻る」の三部となっているが、今回はその内の『下』のみ。
とはいえ、もちろん噺の中でもちゃんと説明されるのだが、事前に1分程度で『上、中』をざっと説明するのはさすが(笑)
腕は良いが酒好きな大工の熊五郎、ついにある日女房のお光は子供の亀をつれて出ていってしまう。
その後、生活を改めた熊五郎は街中で亀と出会うが、この亀、なかなかの策士で……という噺。
見上げるお光から優しく顔をのぞき込む熊五郎へと瞬時に入れ替わる様子に内心(うわっ)と思ってしまった。
なんだろう……落語って凄いって感じた瞬間だった。
「俺は怖がりなんで、話してる俺は皆さんがイメージする30倍もイメージする」という、そのイメージを映像化したらどんな風になるんだろう。
また「玉響ではさださんに一曲リクエストしているが、最近のコンサートではかけていない曲で、これを聴くと『おまえ、芝浜はこれを元に創ったなって言われそう」なんだそう。
ってことは『関白宣言』か?
ああっ、チケット欲しい、チケット欲し〜い、チケット欲〜し〜い、とまるで夢金状態(笑)