まっ、そんな感じ

見聞きしたことを徒然と書いてます。

柳家三三 独演会「秋」 10/11

柳家三三(さんざ)師匠を初めて聴いたのはいつだったかは思い出せないけど、見た目は若いのに出てくる様子や語り口が年寄りめいて『不思議な噺家』というイメージ。
でも、談春師匠を始め他の師匠方とのやり取りを見聞きしていると、実は『年相応に若くておもしろい』人ということも知り、今回チャンスがあって独演会を聴くことができた。

目黒の秋刀魚

前座の春風亭㐂いち(きいち)さん、普通にうまいのだが、殿様のおっとりで世間知らずっぷりがなんか平坦で、起伏がないというかなんというか、スーッと流されておしまいって感じで、花縁師匠のバカ殿様っぷりをもう少しおとなしくしたっぽかった。

宿屋の仇討

とある宿屋で静かさを求める侍と騒がしい江戸っ子三人が隣り合った部屋に通されたところから始まる噺。

落語の面白さの一つに『繰り返し』があるというのがよく分かる、三三師匠の軽妙な語り口が楽しかった。

火事息子

元々の火消し好きから家出して常備火消になってしまった大店の質屋の息子。
たまたま起こった実家近くの火事に駆けつけて……という噺。

町火消、大名火消は知っていたが『常備火消』というものがあるのは知らなかった。
噺の中に出てくる『目塗り』、実家の家業柄なんとなく知っているが、若い人だと目塗り以前に昔の漆喰塗りの蔵を知らないと、あの辺のくだりは何をしているのか分からない人もいるんだろうなぁ。

それにしても、明日聴きに行く談春師匠の演目を先に三三師匠で聴けるとは……とこの日は思っていたのだが、その翌日の談春師匠ったら。
ひそかに聴き比べできると楽しみにしてたのに……(苦笑)