まっ、そんな感じ

見聞きしたことを徒然と書いてます。

立川談春芸歴40周年記念興行 1月

今年から始まった立川談春師匠の『芸歴40周年記念興行』に行ってきた。

『芸歴40周年記念興行』は1年かけて40演目(月2回、1公演2本+おたのしみ)を話していくもので、昨年演目が発表されてから『自分の好きな噺&聴いたことがない噺』に的を絞ってチケットを購入した。
そして1月は「白井権八/包丁」を選択。

十徳

冒頭は『十徳(江戸弁風に云えば「じっとく」)』
店前を通り過ぎたご隠居さんの見たこともない着物について、店に集まった若い衆はあれやこれやと言い合う。そんな中で八っあんが知ったかぶりで「あれは帷子のねんねこ」と言い出したが、結局は気になってご隠居に確認しにいく。
ご隠居に教えられた着物の名前とその由来を店に戻ってみんなに聞かそうとするが、肝心の部分を覚え間違えて……というもので、洒落とおうむ返しの失敗を面白く聴かせる噺。

おしゃべりタイム

この噺が終わった後はおしゃべりタイム。
「今日はカメラ(それも4K)が入っているけど、販売とかの計画はない。立川流はいわゆる前座修業をしていないので、前座話の見本というかひな形がない。だから残そうと思っている」
「談志は『今の基準や倫理で過去の出来事を裁いてはいけない』と云っていた」
(これについては分からなくもないが、今話題になっている文春の内容は、当時でも犯罪だし、今でさえ被害者に対するバッシングがあるのに当時だったら今以上なのは簡単に想像できるし……とちょっとモヤモヤ)
「昔はスト、よくやってましたよね。芸能人みんなストすればいいんですよ、そしたらテレビの番組どうなるんですかね」
などなど。
それと2月・3月・4月のチケットを若干場内で販売する旨の業務連絡(笑)
「合間にこんな話しをするのはマズイところをカットしやすいから」というが、確かに『今この時』だから話せるものばかり。でも、こういうのがとっても楽しい!!

白井権八

次は『白井権八
歌舞伎『浮世柄比翼稲妻 鈴ケ森の場』にもなっている白井権八と幡随院長兵衛の出会いの噺で、幡随院長兵衛の有名な一言『お若いのお待ちなせ』が聞けるのがこの演目。

神奈川宿のおはな茶屋、その店先に座った歌舞伎役者のように見目麗しい若侍(これが白井権八)。
仕事もなく絡み始める雲助たちが(あれはきっと侍に扮した役者だ)と阿りつつも金を取ろうと脅しをかけるが、実は本当の侍で凄い腕前を見せつけられて逃げ出す雲助の様子を茶屋の二階から見ていた長兵衛。
手下の権兵衛にこの若侍を呼んでくるように命じるが、若侍は江戸入りを急ぐとして歩き去る。

すでに日暮れて江戸に入る川の渡しは出ないことを知っていた長兵衛はこの若侍がどうするか権兵衛に探らせると、この若侍、策を講じて渡ってしまう。
そして、川を渡った先は夜盗が巣くっている鈴ケ森。
案の定、若侍と夜盗が渡り合っているところに追いついた長兵衛が「お若いのお待ちなせ」と一言。

若侍の品良く涼やかな感じ、雲助たちの中途半端なワルぶり、長兵衛の親分格、それぞれがとても良かったし、若侍にキャアキャアするお茶汲みの女中たちも可愛らしかった。

包丁

町で偶然出会った昔なじみの二人、うらぶれてる寅に対して羽振りの良さそうな常。
常の馴染の鰻屋で親交を深めているうちに、常は寅に意外な頼みにしてくる。
その頼みとは「若い妾がいて、何不自由なく尽くしてくれる女房が邪魔になった。女房に間男がいるとして離縁し、女郎にでも売ってしまおう」というもの。

売って儲けた半金をやるという常に押し切られて寅が女房のところにいくと、この女房、清元の師匠で身持ちも堅くなかなか隙を見せず、そうこうしていく内になにかおかしいと感づいた女房に問い詰められてもともと乗り気ではなかった寅がすべてを暴露。
企みがバレたとは思っていない常が出刃包丁を手に乱入したが………

最初の身持ちの堅いところから企みを聞いてからの女房の変わりよう、グズグズで振り回される男たちの滑稽さときたらもう(笑)
途中の一升瓶を持つ手の位置が変わらず、本当に持っているように見えた。

2月の演目は何度も聞いた噺なので……と云いたいが、実は迷っているうちに売り切れてしまっただけ。
3月・4月はゲット済みなのでこれも楽しみ!!