まっ、そんな感じ

見聞きしたことを徒然と書いてます。

『俺たちの圓朝を聴け! 第一日目』を聴いてきた 09/02

『俺たちの圓朝を聴け!』は立川談春さんと柳家三三さんがリレー形式で口演する三遊亭圓朝の『牡丹灯籠』である。

三遊亭圓朝は言わずとしれた落語家の大名跡。そして『牡丹灯籠』も誰もが知る怪談噺……なのだが、実は噺全部を語られることは少ない。あるいはほぼないかも。何せ22章、語れば約30時間もあるのだ。
私は幸いにもずいぶん前、下北沢の本多劇場立川志の輔さんの『牡丹灯籠』ですべての概略を聴くことができたので、この噺は怪談を交えた実は仇討ち(忠義)話なことを知っている。
さて22章の筋立てや登場人物は 牡丹灯籠 - Wikipedia でどうぞ。

お露新三郎〜お札はがし

これまで口演してきた福岡では3.5時間、名古屋では3時間かかったが、東京ではどうか……などと軽い挨拶から始まった。

さて第一日目は「お露新三郎」お露と新三郎の出会いから、亡くなったお露の弔いをしている新三郎の死相に気付いた人相見の白翁堂勇斎経由で新幡随院の良石和尚から純金の仏像・お札をもらって貼り、それに気付いた幽霊のお露と女中のお米が剥がしてもらおうとする「お札はがし」まで。

この日は談春さんが「お露新三郎」から「お札はがし」の途中、新幡随院で新しい墓2つを見つけるところまで。
三三さんがその続きから「お札はがし」の途中、お露とお米が新三郎宅に入れないと気付くまで。
ところが「お札はがし」は本当なら幽霊のお米からお札を剥がすよう頼まれた下働きの伴蔵とお峰夫婦のやり取りから新三郎の死まで……のはずが、どうも第二日目の三三さんはこのお米の依頼から始めたかったらしい。

また、談春さんが終わるところを間違えて少し三三さんパートに踏み込んでしまい、次に上がった三三さんに『業務アナウンス』で『ごめんなさい』と誤るハプニングも(笑)

ところで、二人の演者が同一人を語るというのは不思議で、特に感じたのが談春さん担当の生者と三三さん担当の亡者でのお米の違い。
原作でのお米は20代後半から30代始め、つまりお露とは10歳も違わず結構若いのだ。てっきり私はお米を『乳母』と思っていたが、原作では『女中』なのだ。
生者では確かに若い声(談春さん)、それが亡者ではまるで年よりのようなくぐもった声(三三さん)。
生者が見る姿は惑わすことができても幽霊自体が発する声(声帯)は朽ちていくから元の声にはならないのかも、と思ったりして。

他の演目

他は三三さんの「宮戸川(前編)」と談春さんの「粗忽の使者」だった。

宮戸川」はお互い趣味にはまって帰りが遅くなって家から締め出された半七と道向こうの幼なじみのお花。
仕方なく霊岸島に住む伯父に泊めてもらおうとする半七と無理やりついていこうとするお花のやり取りが楽しい話。でも後半は陰惨としてほとんど演じられることがないらしいが、いつかは聴いてみたいものだ。

「粗忽の使者」はタイトル通り他家への使者となった粗忽者の噺。
談春さんのこういう与太郎じみた噺はとにかく面白い。

会場で販売されたグッズは2品

連名での手ぬぐい(1,500円、緑・ピンクの色違いあり)と新書判の本「俺たちの圓朝を聴け! 牡丹灯籠」(1,500円 ISBNバーコードがないため市販なし、と思う)

有楽町朝日ホールはマリオン8Fから入って二階にホール入り口があるのだが、8Fから入った途端「この声はまさか……」
この5月に真打ちになったばかりの談春さんのお弟子さんで私服の小春志さんが売り子をしていて思わずニンマリ。
11月の真打お披露目興行に行く旨声掛けしてしまった。

通し券では買えなかったがバラで第二・第三日目までチケットは入手済み。
この後どうなるのかが楽しみだ。