まっ、そんな感じ

見聞きしたことを徒然と書いてます。

立川談春さんの「これからの芝浜」 12/13

自分の誕生日前後でなにかしらのイベントに行くのを習慣にしている。
以前は歌舞伎だったり、お芝居だったり。で、ここ数年は立川流の独演会で、今年は談春さん。

今年の独演会のタイトルは「これまでの芝浜、これからの芝浜」で4日間興業。
前2日は「これまでの芝浜」編、後2日は「これまでの芝浜」編で、今回聴いてきたのは「これまでの芝浜」。

「だくだく」演:立川こはる

ストーリィーは、
引っ越しを機に持ち物すべてを売り払い、新しい長屋にやってきた男。
部屋に何もないので紙を貼り、絵心がある浪人に床の間や桐箪笥、茶棚や長火鉢などを描いてもらうが、だんだん注文が多くなって現金がのぞく金庫やら、箪笥の引き出しには着物があふれ、脱いだばかりの仙台袴が床に、鴨居にはなぜか長槍も描く始末。
盗みを働こうと物件探しをしていた近眼・乱視の泥棒がこの部屋を見て忍び込み……。

前座として登場したこはるさんを見たのはずいぶん昔。
まだ黒縁メガネで名前からは女性と思えたが、噺もうまく、声は少年〜青年のもの。事実、昭和元禄落語心中では幼少期の初太郎(のちの二代目有楽亭助六)を演じたくらい。
ちなみに、以前、師匠の談春さんがマクラで『たまたま深夜のこのアニメを見て「この子役(の声優)は落語がうまい」と思っていたらこはるだった』という話をしたことがあった。
また談春さん・こはるさんは『入門から1年くらい経過したとき、大師匠の談志さんから「こはるは女かぁ?」と言われた(談志さんはしばらくこはるさんを男と思っていた)』をネタにしていたくらい。
来年2023年5月5日に真打ち披露で「立川小春志(こしゅんじ)」となるこはるさん、今後は声的に難しい噺もするのだろうが、どんなふうに演じるかが楽しみ。

「除夜の雪」演:立川談春

ストーリィーは、
町中にある寺の大晦日のできごとで、前半は中堅の先輩坊主後輩坊主、それに入門3ヶ月で9才の小坊主のやり取り、そこに客がやってきて……。

実はこの噺、落語らしく楽しいのは前半だけ、中盤からどんどん気味悪く、最後はとても後味の悪い噺。
私はこの噺が好きでして、以前独演会のアンケートで[つぎにかけて欲しい噺は?]というのがあってこの噺を書いたら、次に行った独演会で偶然にもかけてくれて。
本当に想い出深い噺です。

初めて聞いたのは2011年11月池上本門寺での談春独演会。
「赤めだか」が出版され、その会場で購入して楽しく一気読みした本だ。
(2008年の講談社エッセイ賞を受賞し、その後ドラマ化もされた一冊)
この噺は上方落語人間国宝桂米朝の持ちネタで、談春さんがわざわざ習いに行ったというもの。
季節柄、冬それも年末にしかかけずらいので、なかなか聞くチャンスがない。

「これからの芝浜」演:立川談春

落語は演者が自分の解釈を加えたり・改めたり・省いたりすることもあるが、大筋は変わらない。噺の内容は https://ja.wikipedia.org/wiki/芝浜 をどうぞ。

今回の「これからの芝浜」もどんな風にしたのだろうと楽しみにしていたが、なるほどそう来たかという感じ。
マクラで「昼の部で『噺の内容をつぶやかないで(Tweetしないで)』とお願いしたら、本当につぶやかれていなくて。昼の部は本当に客がいたのか?」
また最後に「明日もあるのでつぶやかないで」の後「もしかしたら今日とは同じじゃないかもしれないから」と。
多分話していて何かアイディアが浮かんだのかも。
なので、どんな風になったかは書けません。

ただ、談春さんの演ずる女性は本当に『女性』で、どうしてこんなにも女性心理に長けているのか不思議。
本作ではないが「文七元結」の「佐野槌(さのづち)の女将」なんて、もう惚れ惚れするほど最高!!

あっ、同じ「芝浜」ベースでも立川談笑さんの「シャブ浜」は……とにかくこれはぜひ聴きに行って欲しい!!(笑)