まっ、そんな感じ

見聞きしたことを徒然と書いてます。

立川談春芸歴40周年記念興行 5月 05/19

立川談春師匠の『芸歴40周年記念興行』の5月の演目は「満金丹」「百川」「(慶安太平記から)宇都丿谷峠」

まずは着物の話から。
珍しく羽織なしの着流しで登場するも「単衣なんで座りづらい」から始まって、10月から5月くらいまでは「袷(あわせ)」、5月から9月までが「単衣(ひとえ)」。その内7〜8月の真夏は「羅(ら)」「紗(しゃ)」「絽(ろ)」などの薄物というが、良い着物は目が詰まっているので持つと重い。
今は良い着物を着ている師匠方が少ない中、亡くなった桂歌丸師匠は良いものを着ていた、と。
談志も良い着物は持っていたが高座では着ることはなかった。が、あるとき談志・円生(?)・小さんという高座があった。こんな面子はめったにないと支度をしていた談春さん『良い着物を用意してやろう(この時の口調からたぶん面白半分って感じがした)』としまい込まれていた良い着物を箪笥の奥から引っ張り出して広げていたら、やってきた談志師匠が一言「良い着物は高座で着るもんじゃない!!」
んー、でも談志師匠、テレビで見る姿はジーパンで、一体いつ良い着物を着たんだろうと思ってしまった。

満金丹

この話は小さん師匠の代表作。

旅に出たはよいが金も食べ物のない二人が山奥で寺を見つけて泊まらせてくれるよう頼む。
やがて数日の後、和尚から坊主にならないかと言われた二人は躊躇なく修業の道へ。もちろん本気で坊主になるつもりはまったくない。
その内、和尚が京都の本山に一ヶ月ほどいくことになり、葬儀が出たら山向こうの寺に頼むよう言い残して出かけてしまう。
ところが、間の悪いことに村人から葬儀の依頼があって……という噺。

ググってみたらこの話に出てくる「満金丹」、今も販売されていたのにビックリ!!

百川

実際に日本橋にあった料亭「百川楼」がモデルの噺。
コレド室町での独演会がコロナで取り止めになりかかったとき、「こういう時だからやりましょうよ。どうせなら背景に「四神剣※」も飾りましょう」というマクラから始まった。

※「四神剣」はキトラ古墳でも見つかった『四神(北:玄武、東:青竜、南:朱雀、西:白虎)』が描かれた旗で先端に剣がついている。江戸のお祭りでは必ず飾られるもの。
ちょうど昨日・今日は浅草の三社祭が開催されている。

料亭「百川楼」の二階にいた魚河岸の若い衆、実は持ち回りで管理していた「四神剣」を去年飲み代欲しさに質入れしてしまっていて、今年の担当に渡すに当たってどうするかを話していた。

酒と肴を頼もうと店の人を呼ぶとやってきたのは百兵衛という男。
この百兵衛、今日が初めてのお目見えで羽織を着ていたが訛りがきつく、主人は裏方を頼むつもりだったが、あいにく女中たちが髪結いで手が離せないためによこしたものだった。

当然、早口な江戸言葉を百兵衛は聞き取れず、若い衆たちは羽織姿の百兵衛を隣町から「四神剣」を回収にきた者と勘違いし……という噺。

いかにもな噺で聞いていてとっても楽しい(笑)

(慶安太平記から)宇都丿谷峠

まずはある人の発言『家康は異常』というところから始まった。
侍とは闘う者であり、平安な世になれば職を失う。よって平安を願う侍は異常であるとの持論。そして、そのような時代になって出てくるのが『ゴマの蝿』。
「元は侍かもしれず、人を殺すことに躊躇なく、殺してからその持ち物を漁り奪うというもの」という説明があり、「「談志から『正雪記』を読め」と言われて分厚い文庫を読んだがまったく面白くない。それを談志に言ったら「そうだろ、あれは小説だから」」
講談ではよく語られるが、かつては良いところで「続きは次回」と切って、全部を語るのに90日かかったとか。

増上寺では大勢の坊主が集められ、京の本山知恩院に往復10日で300両を届ける者を探していた。でも、途中でゴマの蝿に金を奪われれば全額弁償、それができなければ死、となれば申し出るものなどいない。
そこに名乗り出たのが体つきも大きく足も速いという善達という坊主。

善達が旅立つとすぐに出会ったのがうさん臭い飛脚。
この飛脚が善達の前に後ろに姿を現し、振り切ろうとした善達は自慢の脚力もくたくたに。ついに飛脚に言われるまま宿に泊まるが、ここでも飛脚にだまされて朝一のつもりが真夜中に出立してしまう。

いよいよ宇津丿谷峠にさしかかるとやってきた手下とのやり取りで飛脚の正体がゴマの蝿の頭目で、目的はこれからやってくる紀州徳川家の金飛脚が運んでいる3,000両だということが判明。
善達には京都まで『連れ』ということにして欲しいと言う頭目に、分け前を寄越せという善達。
二人が自分の本当の素性を明かし合い、斬り合いとなる中、紀州家の金飛脚がやってくる……というとこで「続きは次回」

ああっ、本当に良いところでぇ〜!! でした(苦笑)
で、続き「吉田の焼打ち」は6月8日。
この「慶安太平記」聞いたことがなかったので、この噺目当てでチケット買ってある!!
続きが楽しみ!!

立川談春芸歴40周年記念興行 4月 04/13

立川談春師匠の『芸歴40周年記念興行』の4月は前座噺の「子ほめ」、それと「除夜の雪」と「百年目」

子ほめ

「前座噺なんですぐできるだろうと思ったら忘れていた部分があり、来ていたお弟子さん(談笑師匠のお弟子さんで笑王丸さん)に確認してもらった」から始まって、「マクラなしにいきなり本題に入るのが難しい」と一通りのマクラの後『子ほめ』に。

除夜の雪

この噺に入る前のトークで徒弟制度について話され、落語家に限らず「今は目上から教えてもらうことを拒否する人がいる。スマホやインターネットで調べれば分かるようになったからかねぇ〜」と。

以前、誰の言葉かは忘れたが『幽霊噺や怖い噺の後はおもしろおかしい話をして、お客に気持ちよく帰ってもらう』というのを読んだことがある。
この『除夜の雪』もけして気持ちの良い噺ではなく、また幽霊噺でもあるため、この後に面白い『百年目』をもってきたのかなっと思っていた。

が、トークを聞いていたら、実は両方とも『目上の者が目下の者に、経験に基づいて色々なことを教える』噺と思い当たった。
演目の組み合わせってそういう視点からも考えられているんだと感心した。

さて、この噺の筋書きは2022年にアップしたので、こちらからどうぞ。

  立川談春さんの「これからの芝浜」 12/13 - まっ、そんな感じ

前に聴いたときとちょっと違っていたのは、降り積もった一面銀世界の境内の庭が丁寧に語られたこと。
どこの寺とは分からないが、私の脳裏に境内の庭のその景色が浮かんだ。

百年目

この噺の筋書きも2023年にアップしたので、こちらからどうぞ。

  今日は浅草で落語の日 05/06 - まっ、そんな感じ

やっぱりこの噺は志の輔さんの方が好きだなっ(苦笑)
なにが違うのか? 私にとってはたぶん『声(声質)』なんじゃないかな?
『年齢』もあるかもしれないけど、『旦那の落ち着き』を感じるのは志の輔さんなんだよなぁ……

 

この前、埼玉スーパーアリーナで「井戸の茶わん」を演じた後、お客さんから「この噺、25分に短縮できるんですね」と言われたとのこと。
確か、以前に志の輔さんで聴いたときは45分〜1時間程度だったと思うが、どこをどう切ると25分で噺が成立するのだろう?……まったくもってびっくり!!