まっ、そんな感じ

見聞きしたことを徒然と書いてます。

『黒談春』を聴いてきた 09/27

さて、立川談春師匠久々の浅草公会堂での落語会は『(27日)黒談春』と『(28日)白談春
この『黒・白』の意味はチラシによると以下の通り。

談春とは
談春通」「落語通」を自負するお客様に向けた、珍しい、談春らしい演目を選んでの落語会
 演目:小猿七之助、三軒長屋

談春とは
「初めての談春」「初めての落語」というお客様に向けて、笑いの多い分かりやすい演目を選んでの独演会
 演目:宮戸川、棒鱈、百川

うーん、一応かなり独演会に通っているので『黒談春』で行こうと思ったわけです。

いつものように始めは軽い話から。

「浅草公会堂は本当に公平で、使用日は抽選なのでなかなかここでやれない」
「昔は俺が楽屋に入ると前座たちがシーンとしたものだが、最近の子たちは明るくにこやかに『おはようございます』と言ってくるので、俺もニッコリ『おはよう』と返すわけ。そうすると少し年配の前座たちが(えっ?あの人あんな顔ができるんだ?!)って」
から始まって、

「最近、落語家が『中村仲蔵』とか『柳田格之進』とか『碁盤切り』とか演ってるでしょ?ドラマとか映画とかでもやっているけど、昔はあんまり演る人がいなかった。
今日演る三軒長屋なんて、逆に演る人がいなくなっちゃった。
俺が『仲蔵』なら逃げないで逆に夜襲しちゃうんだけどなぁ〜」

「北海道でのマクラに最近『熊』って言いづらいわけですよ。以前なら「ほらっ「おや、熊さん、まあまあお上がり」っていうと客席から笑いが起こるんだけど、最近はざわつくんです」
などなどで客席が温めつつ「小猿七之助は山藤正二先生から借りた講談師 神田伯龍のレコードを聴いた談志が気に入って落語に仕立て直した話なんだけど「講談師で神田って聞くとさぁ……」」から噺に入っていきます。

小猿七之助永代橋

船頭の七之助(すばしっこいのでつけられたあだ名が小猿)に密かに惚れていた男嫌いで通っていた芸者のお滝が、客を下ろした後、本来禁止されている一人船頭一人芸者で帰る途中、永代橋をくぐったあたりで身投げしたお店者を助ける。

助けられた幸吉、実は集金帰りの船の中でいかさま博打で売掛金を巻き上げられ、取り戻そうとしたが逆に傷を負い、身投げしたのだった。

ところが、事情を聴いているうちにこのいかさま博打打ちの名を聞いた七之助は幸吉を殺し、見聞きしていたお滝も殺そうととして……という噺。

元は長〜い話の一パートなので、(えっ!? ここで終わっちゃうの?)なのだが、最終段には今話題の『国宝』から「樹の裏から田中泯が顔を出して……」が入ってくるあたり、今風を取り入れている。

なんで歌舞伎が出てくるのか?
元となったこの講談、世阿弥が『網模様灯籠菊桐』(あみもようとうろのきくきり)』という歌舞伎にも仕立てているからだろう。

元は講談という噺は他にもあるが、これだけ鳴り物が入る噺は珍しいのではないか?

三軒長屋

鳶頭 政五郎、高利貸伊勢屋のお妾、剣術道場を開いている楠先生、一軒一軒は独立しているが隙間はわずか、隣の声や音は筒抜けという長屋で起きる滑稽噺。

鳶頭のところには若い衆が集まっては宴会や喧嘩、剣術道場では朝稽古に加えて夜稽古まで始め、真ん中のお妾は引っ越して間も無いのに旦那である伊勢屋に転居を強請る。

「この土地が実は家質(かじち:借金の担保)でもうすぐ流れて自分の持ち物になる。そうしたら両脇の家を壊して……」と企む伊勢屋
これを聞きつけた政五郎が楠先生に奇策を持ちかけて、伊勢屋をギャフンと言わせる噺。

珍しく噺の途中で「いったん休憩」と宣言して、水?お茶?を口にしてから続きを始めた。
後でWikipediaで確認したら、このように記述があり、確かに集まった鳶の若い衆が始める喧嘩の長ぜりふから剣道道場での稽古風景まで一気に話すので、確かに一息入れるのも当然。
ただ、昔聞いたときは入れなかったはず(笑)

人物の出入りが多いため、よほどの実力者でないと演じ切る事ができない大作である。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E8%BB%92%E9%95%B7%E5%B1%8B

 

談春塾は平日昼間でなかなか来れないお客様もいるので、12月は昼・夜の2公演で3日間で『2025年末特別編』を行います」
とのことだが、問題はその3日間の演目。(昼・夜は同じ演目)

  • 「談志の芝浜」「除夜の雪」
    残念ながら談志の芝浜をリアルに聞いたことがない、また除夜の雪は大好きな噺
  • 「平成版談春の芝浜」「黄金の大黒」
    たぶん、平成版談春の芝浜は聴いたことがある……はず、そして黄金の大黒は聴いたことがない
  • 「令和版談春の芝浜」「富久」
    令和版談春の芝浜は聴いたことがある、でも談春師匠の富久は聴いたことがない

歌舞伎座での談志・談春親子会で芝浜を演った時は、談志が怒って途中で帰っちゃって、来ていた石原都知事は噺の途中で戻ってきて発した一言に奥さんは慌ててた。DVD持ってたら確認してみて」とか(いや、あなたこのときのDVD販売終了にしちゃったじゃない!!)、
「18世勘三郎さんの蝿話(これはわりと有名な話かも)から、以前に向島で芝浜やったら楽屋にでかい蝿がいて……」などなど、芝浜に関わる思い出も少々。

さすがに3日間通し……は正直財布的に厳しい。
でも、もしチケットの中に『通し券』があったら買ってしまうかも(苦笑)

 

追記:10/02

チラシを見ていて買うチケットはこれに決めた「談志の芝浜&除夜の雪」!!
つい、芝浜以外の演目で悩んでいたのだが、異なる3つの「芝浜」をメインで考えた場合、今後二度とやらない可能性が一番高いのが「談志の芝浜」だからだ。

談春師匠が「談志の」とつけるくらいだから、その完成度は恐らく談志そのものなんだろう。
これは聴き損じてはならない。