立川談春師匠の『芸歴40周年記念興行』の8月の演目は「たがや」「蒟蒻問答」「死神」
先日の「長岡まつり大花火大会」に中継に参加していたせいか、隅田川花火大会の始まりから『鍵屋』『玉屋』(東京で花火が上がったときの掛け声の元で花火屋の屋号)の由来と当時の掛け声の掛け方やらの後、最後は談志師匠の持ちネタ『花火屋のロレンス』(ちなみに談志は「これが『アラビヤのロレンス』だって分からない人が増えてきた」とぼやいていた、とのこと。いや、さすがに若い人でも知ってるでしょ?とも思ったが、映画に興味がない人だと知らないのかも)
このように落語家が語る昔話にはちょいちょいネタが含まれるので油断ならない(笑)
たがや
亨保17年(1732年)旧暦5月28日、両国川開きの日に行われた花火大会での噺。
花火見物でごった返す両国橋に乗り込んできた伴3名を連れた馬上の武士の前に、人に揉まれて跳び出してしまったたが屋。
無礼討ちにされるかと思ったら、意外にも伴3名を返り討ちにして勢いに乗り、馬上の武士に刃を向けるたが屋。さて、この後一体どうなるのか……。
談春師匠が語る江戸っ子の勢い良いやり取りは本当に気持ちよい。
さて、『鍵屋』からのれん分けしてできた『玉屋』。実は失火により一代で家財没収・主は江戸処払いで両方が揃っていたのは30年くらいだったんですね。
蒟蒻問答
自身の独演会なのに足をケガして2席できないからと助を頼んだ五代目三遊亭円楽(顔長の方)とのやり取りを物まねで語り……まぁ、その円楽の声色が本当に良く似ていた。(色々な人が物まねするが一番うまいかも)
元は江戸のやくざ者、今は安中で蒟蒻屋をしているかたぎの六兵衛。あるとき江戸から逃げていつまでも江戸に帰らない八公を和尚として無住の寺に送り込む。
ところがこの寺に越前永平寺の旅僧が問答したいとやってくるが、当然、問答などできない八公は六兵衛に泣きつき、六兵衛が旅僧と問答すると……。
面白かったんだが、やっぱり無言での問答部分は柳家小さん師匠の方が面白かったと思う。
まあ、これは普通でも和尚然とした小さん師匠の容姿と表情だから、というのもあるし、小さん師匠に比べたら談春師匠はまだまだ若造(笑)に見えるからかも。
死神
死神の終わり方としては「消えるよ、消えるよ(消えた)」が有名だが、今回は自分が死神になってしまう方だった。(調べてみたら、このオチ、結構色々な師匠方がバリエーションを創り出しているんですね)
嫁や子にまでバカにされ川に飛び込んで死のうかと思案している男の前に現れた死神(この容姿を説明する中で「ほら、ロード・オブ・ザ・リングのアレ。えーと、何だっけ。あっ、ハリポタのドビーね」と。ドワーフが出ないでドビーは素直に出てくるのか(笑))
死神に教えてもらった方法と呪文で一躍有名医者になるが、結局、押しかけ番頭に嫁と子と金を持ち逃げされ、やけくそで死神から「やっちゃいけない」と言われていた方法で死にかけた大店の主を生かしてしまうと……。
これも面白かったんだけど、聞き慣れていない人向け(?)の説明が多くて噺の流れがちょっと悪い感じがした。
自身も後で言っていたが、呪文もすっかり全部変えるのではなく、他の師匠方のように『アジャラカモクレン』に続く文句だけを変えた方が良かったのでは?
公演後、今回は撮影タイムあり!!
「どうして写真撮りたがるの? 来た記念?」と師匠はおっしゃるが、ええ、そうですとも(笑)
また、昼の部では「なにかご質問は?」と問うたら、客席から本当に質問があってしばしやり取り。
で、来ていた阿部寛さんが後から「客席とやり取りすることもあるんですね」と言われ、「いや、普通はないですから」と説明したんだとか。